「ちょうだい」から始まった、息子のことばの6年間

サインで伝えていた2歳半から、少しずつ会話が生まれるまで

「ことばが増える」というと、話せる単語の数が増えることを思い浮かべるかもしれません。

けれど、ことばの発達がゆっくりだった息子を見ていると、それだけではないのだと感じます。

自分の要求を伝えられるようになること。
嫌なことを「嫌」と表現できるようになること。
相手のことばに応え、少しずつ会話のキャッチボールができるようになること。

息子のことばは、一直線に増えていったわけではありません。

サインや身振りで気持ちを伝えていた時期から、少しずつ発語が増え、自分の思いをことばで表現できるようになるまで。

息子なりのペースで積み重ねてきた、2歳半から6歳現在までの成長を振り返ります。

2歳半頃|「ちょうだい」のサインから始まりました

息子が療育に通い始めたのは、2歳半頃でした。

最初に覚えたのは、マカトンサインの「ちょうだい」です。

当時は、話せることばがまだ少なく、

「飲みたい」
「食べたい」
「やってほしい」

という気持ちを、ことばではなくサインで伝えていました。

うまく話せなくても、息子の中には「伝えたい」という気持ちがありました。

一生懸命にサインを使う姿を見ながら、ことばになる前から、息子はちゃんと私たちに気持ちを伝えてくれていたのだと思います。

3歳頃|「ちょーあい」と聞こえた日

3歳頃になると、

「ちょーあい」

と、「ちょうだい」に近い発語が少しずつ出始めました。

たったひと言です。

それでも、息子の口から初めて「ちょうだい」に近いことばが聞こえた日は、泣きそうになるほどうれしかったことを覚えています。

それまでサインで伝えていた気持ちが、初めて声になったように感じました。

周りから見れば小さな変化だったかもしれません。

けれど、私たち親子にとっては、とても大きな一歩でした。

4歳頃|身近なものの名前が少しずつ増えました

4歳頃には、「ちょうだい」と、以前よりはっきり言えるようになりました。

さらに、

「ジュース」
「みず」
「ゼリー」

など、身近なものを表す単語も少しずつ増えていきました。

自分が欲しいものを、自分の声で伝えようとする姿が増えてきた時期です。

まだ長い文章で話すことはできませんでしたが、息子の中にあることばの世界が、少しずつ広がっているように感じました。

5歳頃|「ジュース、ちょうだい」と二語文に

5歳頃になると、単語を二つ組み合わせた二語文が増えてきました。

「ジュース、ちょうだい」
「ぶどう、ちょうだい」

ひとつの単語だけではなく、「何が欲しいのか」まで伝えられるようになったのです。

おうむ返しも増えましたが、口にできることばそのものが増え、やり取りの幅も少しずつ広がっていきました。

5歳後半|「いや」という気持ちも伝えられるように

5歳後半頃には、否定することばが出始めました。

「いやなの」
「いらないの」

欲しいものだけでなく、嫌なことや必要のないものも、ことばで伝えられるようになってきました。

親としては、「いや」と言われると対応に困る場面もあります。

それでも、自分の気持ちを自分のことばで表現できるようになったことは、息子にとって大切な成長だったと思います。

「ことばが増える」というのは、物の名前や要求のことばが増えるだけではありません。

自分の気持ちや意思を、相手に伝えられるようになることでもあるのだと、この頃から強く感じるようになりました。

6歳現在|少しずつ会話のキャッチボールができるように

現在、息子は6歳です。

まだ発音は不明瞭で、使えることばの種類も多くはありません。

こちらの質問が伝わりにくかったり、息子の話していることがうまく聞き取れなかったりと、会話がスムーズに進まない日もあります。

それでも、以前と比べると、ずっとコミュニケーションが取れるようになりました。

こちらの問いかけに答えたり、自分から伝えたいことを話したり。

短いやり取りではありますが、少しずつ会話のキャッチボールができるようになってきています。

発語の成長は、一直線ではありませんでした

息子の発語は、急に大きく増えたわけではありません。

サインを使っていた時期があり、「ちょーあい」と聞こえるようになり、やがて「ちょうだい」と言えるようになりました。

そこから単語が増え、二語文になり、「いや」という自分の気持ちも伝えられるようになりました。

少し増えたと思ったら、しばらく変化が見えない時期もあります。

できるようになったことが、その日の調子によってはうまくできないこともあります。

発語の成長は、きれいな一直線ではありませんでした。

けれど、振り返ってみると、息子なりのペースで一つひとつ積み重なってきたのだと分かります。

ことばになる前から、息子は伝えてくれていました

話せることばが少なかった頃も、息子は何も伝えていなかったわけではありません。

サインや表情、仕草を使って、自分の思いを一生懸命に伝えてくれていました。

ことばとして聞こえるようになる前にも、息子の中には「伝えたい」という気持ちがあったのだと思います。

「ちょうだい」のサインから始まった、息子のことば。

今も発音や会話について心配になることはありますが、以前よりもずっと、息子の気持ちを受け取れるようになりました。

これからも、息子なりのペースで広がっていくことばとコミュニケーションを、ゆっくり見守っていきたいと思います。

同じように、お子さんのことばについて悩んでいる方にとって、この体験が小さな安心につながればうれしいです。

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